lemonlemonlemonのブログ

大腸がんの治療についてこれまで経験してきたこや、術後の日常のことを書きたいと思います。

俳優を貫いたショーケン、やっぱりカッコいい!

録画しておいたクローズアップ現代「ショーケン最期の日々」を見ました。
(注:実際のセリフや番組の内容など正確にメモっていません。勘違いや間違いがあるかもしれませんのでご了承下さい。)


「もう死んじゃうからね(ハハハ…苦笑い)  生きる時間って、どうしても人間限りがあるもんですから….」というシーンから始まりました。


それは亡くなる8日前のこと。これまでの8年間に渡る闘病生活の記録をNHKに託した場面でした。


2011年2月。
モデルの冨田リカさんと結婚。その直後に希少がんが発覚し、すぐに手術。術後、現場復帰しても病気のことは一切公にしなかったそうです。結婚して伴侶を得たことで、仕事への取り組みが以前とは変わっていったといいます。


2015年4月再発。
「正直言って真っ白になったのは確か。本当に真っ白になった。如何しようも無い。本当に真っ白。」と。


病気の再発がわかった後も、それまで以上のペースで俳優としての活動に力を入れていき、そんな中、1本のドラマ出演のオファーがあったそう。
それは、中高年のラグビーチームを作った男が、がんの進行とともにラグビーが出来なくなっていくというストーリー。余命わずかながん患者を演じて欲しいとのオファーだったそうです(不惑のスクラムハーツ)。


しかし、この頃病状が悪化。主治医からは、オファーを受けることは自殺行為。手術するなら今しかない。オファーを断って、延命のための手術を受けるように勧められたといいます。


しかし、ショーケンさんは、手術を受けずドラマに出ることを選択。俳優としての行き方を貫きました。


撮影中、突然発疹やむくみが現れたり、激しい痛みに襲われたり、腹水が溜まり大きく膨らんだお腹で全力で走り体当たりするシーンを演じたそうです。


共演した高橋克典さんは、病気のことは知らなかったが体調が良くない事には気がついていたそう。そして、高橋克典さんにとって強烈に印象に残ったシーンというのが、ショーケンさんが演じる宇多津貞夫が自らの病気を告白する場面だったと言います。
その時のショーケンさんの芝居は、自分が矢で撃ち抜かれた瞬間だったと。非常に斬新でものすごい力を感じた。死と直面して向き合っている人の覚悟が鮮烈に感じられたとのことです。


ショーケンさん自身、がんになることは非常に不幸なこととしながらも、芝居について、
「自分が発見できるんですよ。例えば抗がん剤を飲むと声がかすれてくる、それをどういう風に使うか、それが僕の道にまだ残されているんじゃないか、体力の限界は、おのずと年取ればそうなるけど、知恵の限界っていうのは、まだ全部使ってないんじゃないか」


また別のインタビューでは、
「一人のがん患者が、がんと闘ってるということではなくて、人生において悔いのない綺麗な生き方と戦う方がいい。」


「ジスト(希少がん)になってもウエルカムとは言いませんよ。不愉快です。だけど、この難関を治そうとは思わないんです。抱えたままでいいんです。人に迷惑をかけないで判断ができ、家内に心から正直なことを言えて、ただ、もし奇跡でも起こればあと5年は生きたいね。」と声を震わせていました。


番組のエンディングで、
「もう一回生まれてきて、人間として生まれてきても俺は俺...」


「鴨川食堂」でにわかファンになった私ですが、ショーケン、やっぱりカッコいいですね!


「いだてん」の高橋是清役を演じたのが最後の芝居だそうです。是非見てみたいです。そして、「不惑のスクラムハーツ」が再放送されるのを心待ちにしています。夏木マリさんとのキスシーンは、ショーケンさんが提案したそうです。


死期が迫っていて間もなく死んでしまう、そういう時の心境はどういうものなのでしょう...死を恐れたり絶望かのようにイメージする部分もあるのですが...
ショーケンさんが自分の生きた証の記録を他者に託したこと、最後まで俳優の仕事をやり通したこと、愛する人に見守られているという様子から、「死の直前であっても夢や希望が抱ける」ということがメッセージとして伝わってきました。


最後になりますが、ショーケンさんのご冥福を心からお祈りいたします。