lemonlemonlemonのブログ

大腸がんの治療についてこれまで経験してきたこや、術後の日常のことを書きたいと思います。

香りと脳機能「香りで運動力アップ①」

古賀良彦先生(杏林大学名誉教授)の「香りと脳機能」についての講義の続きです。

香りと脳科学を専門分野とする古賀先生は、香りの新たな可能性を求めて商品開発の監修をされたというお話でした。


その商品というのは、鼻腔を広げるテープ。テープには、「集中して持久力をあげる香り」「リラックスして柔軟性をあげる香り」があります。商品名は宣伝になってしまうので伏せておきます。今年の箱根駅伝でも、このテープを鼻につけて走った選手がいました。


私は、アロマセラピーを学んだことがあるので、古賀先生の講義内容に、自分で調べたことを若干追加してまとめてみました。


まずは、基本的な生理学から...
香りは、空気と一緒に鼻腔に入り、その後、体内に取り込まれる際、「嗅覚」「呼吸」の経路に分かれます。


嗅覚による経路
 香りが鼻粘膜の嗅細胞に届くと、嗅覚受容器を刺激して、その芳香成分の情報が電気信号に変えられて脳の大脳辺縁系の海馬や扁桃核へ送られます。海馬は記憶、扁桃核は情動(感情)に関係しています。視覚や聴覚、触覚などの他の感覚器とは違い、嗅覚は大脳新皮質を介さず、直接大脳辺縁系に作用すると言われています。ということから、香りを嗅いだら直ぐに反応が現れると思われます。また、電気信号は自律神経系や内分泌系を支配する視床下部や下垂体にも伝達され、それぞれの芳香成分に対応して、神経伝達物質が分泌されると言われています。


呼吸による経路
 吸い込まれた芳香成分が、気道を通って肺胞に送られます。肺胞でのガス交換の際、酸素と一緒に芳香成分が毛細血管に入り、血流に乗って全身に届けられます。実際には、呼気によって芳香成分のほとんどが吐き出されてしまうそうです。


鼻腔拡張テープに用いられた香りの正体は、フロアから質問が出ましたが、企業秘密のため古賀先生の口からは明かされませんでした。アロマセラピーの分野で、これまで明らかにされているのは、ラベンダーやネロリの香りがセロトニンの分泌を促進させ、神経系を鎮静化し、リラックス効果をもたらすということです。


ということは、「リラックスして柔軟性をあげる香り」のついた鼻腔拡張テープには、ラベンダーやネロリが用いられているかもしれません...



私はまだこの商品を試したことはありませんが、スポーツ以外にもリラックスしたい時に使ってみる価値はあると思います。鼻腔が拡張されると呼吸しやすくなりますので、深呼吸の要領で鼻からゆっくり息を吸って、口からゆっくり細く長く息を吐きます。そうすると、香り成分が嗅覚と呼吸経路から体内に入って、セロトニンが分泌されてリラックスできるのではないかと思います。緊張や不安があると、体が硬直して呼吸がうまくできなくな流ので、そういう時に使えるのではないかと思います。


                                   つづく