lemonlemonlemonのブログ

大腸がんの治療についてこれまで経験してきたこや、術後の日常のことを書きたいと思います。

日野原重明著 「死をどう生きたか」


18日の日野原先生の訃報を聞き、1990年ごろの記憶が徐々に蘇ってきた。


当時私は、死生学やターミナルケアに関心があり、本を読んだりセミナーに参加したりしていた。その当時出会ったのが日野原重明先生(出会ったと言っても知り合いではありません)。


そういえば、日野原先生の本が何冊かあったはず!
そう思いたって本棚を見渡した。
当時、死生学やターミナルケアに関する本を読みあさって勉強したので、たくさんの本があるはずだ。


本を探しているとき、がんとか死とかというタイトルが目に止まると、少しドキドキしている自分に気がついた。
自分が『がん』になったことで、がんとか死とか、そういう本を無意識に避けてしまっているのではないか…と、ふと気がついた…


それでも、自分にがんが見つかった時、治療法の説明を受けた時、手術の時、術後補助化学療法を受けるかどうか迷っていた時、そして今だって、命のことや死の怖さを感じながら、いつもそれが隣り合わせ。決して、がんとか死を避けているつもりではないはずなのですが...


90年代当時、まだ私は若かくて、自分の死のことは今ほどリアルに考えていなかった。
今の私は、もはや死を考えないで生きることはできない状況。
今はリアルに自分がどう生きるか死ぬかということに直面している。


なのに何故、そういう本を無意識に遠ざけているのだろう…
死と向き合うことがリアルすぎて恐いのかもしれない…
考えているくせに、考えたくない...ちょっと矛盾しているけど、それが現実なのかな...


そう言えば、「死と向き合うことは、生と向き合うことだ」と教えてくれたのは日野原先生だった…


そんなことも思い出しつつ、本棚を探すが見つからない。
かれこれ30年近く前の本になる。


日野原先生以外の本は何冊も出てきた。
千葉敦子先生の「よく死ぬことはよく生きることだ」という本も出てきた。


探すのに疲れた(体力的に)けど、見つけるまではと頑張った。
あった!あった!出てきた!
ようやく日野原先生の「死をどう生きたか」という本が出てきた。



手にとってみると、もう一度読み返してみようかなという気分になってきた。


そうか、死ぬことを考えると怖くなる。でも、どう生きるかを考えるのは恐くない!
「死をどう生きたか」というのは、「生とどう向き合ったのか」なのだ。
あらためて、今の私に大切なことに気づかせてくれたのは日野原先生ということになる。
これは、日野原先生からのファイナルギフトにちがいない。


日野原先生は逝ってしまわれたが、私の心の中では先生の教えは生き続けている。


日野原先生、あの世でどうやって生きていらっしゃるんでしょう?
きっと先生らしく、心身ともに健やかにお元気でお過ごしではないかと想像します...