lemonlemonlemonのブログ

大腸がんの治療についてこれまで経験してきたこや、術後の日常のことを書きたいと思います。

考えさせられた映画『ロストケア』



以前は、アメリカ制作のテレビドラマや映画を見ていましたが、最近は北欧系やヨーロッパもののドラマを観るようになりました。大抵録画しておいて、時間がある時に一気見しています。


最近観た映画の中で心に残ったのは邦画『ロストケア』。一年前に全国ロードショウで放映されたばかりの作品です。


公式サイトによるあらすじは、「早朝の民家で老人と訪問介護センターの所長の死体が発見された...(中略)...被害者の家族を調査するうちに、社会的なサポートでは賄いきれない、介護家族の厳しい現実が…(中略)...」犯人は誰なのかという推理ものではなく、早い段階で容疑者が特定され、ストーリーが展開されます。


映画では、高齢の親が認知症を発症し、日に日に物忘れが酷くなり、些細なことで怒り出したり被害妄想に囚われたり、自力での日常生活動作が出来なくなり、誰かに世話をしてもらわなければ生きられない、子はそんな親の姿をみて傷つく。親は、自尊心がどんどん低下し、自分に対する苛立ち、惨めさや恥の感情が湧いて来て、生きている事が苦痛になる。親も傷ついている。


子には自分自身の家族(夫・小さな子ども達)があり、子育てや仕事をしながらの二刀流・三刀流体制で親の在宅介護をしている。自分で介護出来ない時間帯は、介護士さんやヘルパーさんの介護支援を利用しているが、時にはまだ小さな子に手がかかったり、昼の仕事に加えて夜間もアルバイトをしていたり、自分自身の健康問題を抱えていたり、夫婦間の問題を抱えていたり... 介護以外での日常生活でもいっぱいいっぱいで、思うようにいかないストレスを抱えそれが蓄積して疲弊していく... 


小さな子ども達は、自分の親が祖父母の介護で疲れている姿を見ている。甘えたくても甘えられない寂しさや、親がストレスを抱えてイライラしていている時はものすごく気を遣っている(こういう場面は、映画の中では描かれていなかったが、恐らくあると思う)。


もちろん、在宅介護はそんなネガティブな面だけではなく、親子の絆を深めたり、親孝行出来たり、親自身も子や孫とのふれあいで生き生き出来たり、最後の人生を豊に過ごせたり、親も子も様々な経験を通して人間的に成長する機会にもなると思います...


『ロストケア』を観て、社会問題について考えさせられたというより、自分自身のこととして考えさせられました。自分の母親と義母の介護、恐らく自分自身も認知症になるだろうし、他の病気や障害も抱えるかもしれず、自分が人様に世話をしてもらわないと生きて行けなくなるだろうという未来、間も無く現実問題になるだろうということを目の当たりにしました。


映画の話に戻りますが、主演は松山ケンイチさんと長澤まさみさん、出演者の皆さんいい仕事していました。介護士役の峯村リエさん「いるいる、こういう介護士さん」って感じでいい仕事されていました。



https://journal.jspn.or.jp/jspn/openpdf/1230070396.pdf