lemonlemonlemonのブログ

大腸がんの治療についてこれまで経験してきたこや、術後の日常のことを書きたいと思います。

義父の他界は死の準備教育になった②死亡診断

義父が亡くなる数時間前、危篤の連絡はなかったものの、日に日に衰弱しているのが心配で、奥様、長男・次男(夫)、長女が2ヶ月ぶりに集まれるということで、主治医から特別の許可が出て、家族水入らずで30分くらい病室にいられたそうです(面会が禁止されているので面会と言う言葉が使えませんでした)。その時の義父はいつもより意識がハッキリしていて、「退院に備えて運動しなくちゃ」と手足を動かして元気な姿を見せて、家族の緊張を和ませていたそうです。

その数時間後の深夜に病院から連絡が来ました。危篤と言う知らせではなく、すでに心臓が止まっていると言う連絡でした。夫にもすぐ連絡が来て、私も一緒に病院へ向かいました。病院までは距離があるので高速を使って1時間半ほどで到着。病室に入ると、目を真っ赤に腫らして涙しているお義母さん、義理の兄と兄嫁、義理の妹さん。義父の顔を見ると血の気がなく真っ白でした。すでに亡くなっていると聞いていましたが、点滴や酸素、モニターなど外さず装着したままでしたので、あれ?と思いました。身内が揃うまで死亡診断をせず待っていて下さったそうです。

しばらくして当直医がいらして、自己紹介とともに丁寧な挨拶をして、聴診器で心音・呼吸音を確認し義父の寝衣をさっと直し、ペンライトで瞳孔を観察、家族全員が見守る中で臨終が告げられました。ここで告げられた時刻が死亡時刻となりました。当直医が来る前に十分泣きはらしていたのですが、死亡時刻を告げられた瞬間、皆嗚咽が止まらなくなり、病室内が悲しみでいっぱいになりました。


深夜ということもあり主治医はおらず、死亡診断は当直医の仕事になります。病室に来てくれた当直医は、患者も家族も初めて会う医師です。とてもお若く見えましたが、病室に入ってきた時から退室までの立ち居振る舞いがとても丁寧でした。ものの10分程度でしたが、義父に対しては「眠るように旅立たれましたね。苦しさは無かったと思います。長い闘病お疲れ様でした」と、家族に対しては「ご家族の皆様もお疲れ様でした」と労いの言葉をかけて下さいました。このような丁寧な対応が、家族に安心感や信頼感を抱かせてくれ、義父がここで最期を迎えることが出来て良かったと思うことが出来ました。


この若き当直医の対応があまりにも素晴らしかったので、医師の人材育成もここまでしっかりなされているのかと感心させられました(偉そうですみません...)。そして、こういう時のマニュアルがあるかもしれないと調べてみると...
地域の他職種で作る『死亡診断時の医師の立ち居振る舞い』というガイドブックを見つけました。私にとって遠くない将来、自分の親や自分が病院や地域医療のお世話になる時が来ます。このガイドブックを拝見して、最期の時まで「人」を大切にする関わり方が、とても細やかで丁寧だと感じました。添付されている「死亡診断時の医師の立ち居振る舞いについての遺族調査」もとても興味深く参考になりました。自分や家族が最期を迎える時、どういう方々にお世話になるか、それを考えるときにこうした真摯な対応をしてくださる方にお世話になりたいと切に思いました。 (③へつづく...)


 
地域の他職種で作る『死亡診断時の医師の立ち居振る舞い』についてのガイドブック 
財団法人在宅医療助成勇美記念財団2013年度助成により作成、作成・発行えんじぇる班